アシスタント・プロフェッサー in アメリカ

2018年からアメリカでアシスタント・プロフェッサーとして働き始めました。主に研究経過を記録として残していこうと思います。

困難に次ぐ困難

春学期が始まってまだ約一ヶ月というのに、大変な事がひっきりなしに起きてます。

コロナウィルスの影響はもちろんのこと、2週間前に始まった大学の大規模なネットワーク障害による影響(いまだに一部のネットワークにアクセスできない)、そして先週は、大寒波のため一週間大学が休校となり(停電が約40時間続いたり、水道管が破裂して水がでなくなったり、水質も悪化してboil water advisoryがでたり)、、、。これらの影響により春休みは無くなり、そして5月頭に終わるはずだった学期も少し長くなった。現在は、これらの対応に迫られ、学期の見直しや、シラバスの修正、そして学生のメールの返信で一杯一杯です。

もはや研究どころではなくなった。。。

最近の研究の停滞状況

ここのところ、クラスや大学の業務に追われて、あまり研究がすすんでない。。その上、大学のネットワークに大規模な障害が先週から続いており、大学関連のネットに接続できなくなった。というわけで、メールにも、大学のZoomも、クラスを教える上で使用しているプラットフォーム(BlackboardやCanvasなど)にもアクセスできなくなり困り果ててる。今日ようやく一部に接続でき始めて、まずクラスの立て直しに追われてる。大学がオンラインになって、ネットワークが使えなくなると本当に何もできなくなる。オール電化になって、電気が使えなくなるみたいな状況?

 

とはいっても、研究者が研究をしなくなると終わりなので、這いつくばりながらも論文を書き始めてます。最近R1の大学の先生(もうすぐtenureの審査がある)と話す機会があって、その先生も最初の数年、論文を出版するためだけに研究していた時期があり、虚しくなって鬱っぽくなったといってた。自分も時たま、ハムスターみたく、くるくる回るおもちゃ(?)でひたすら回ってるような感覚に陥る。色々なところで言われてることだけど、自分の研究がどう社会や分野の発展に貢献できるかを考えないと、モチベーションを保つのは難しい。。興味あるテーマでやってても、出版しないと”いけない”と思い始めたら、逃げたくなる。結果、最近お酒の量も増え始めた。。。

 

前学期(秋学期)は一本も新しい論文をかけていないので、今学期は最低一本は書きたい。そして、目先の目標として、2月末には論文の半分ぐらいは書く!

査読してよく思うこと パート1

今週、2021年初めての査読をしました。

前に査読した論文の感想を書いたけど、やっぱり印象が良くない論文には共通点がある。

aimhigh20190212.hatenablog.com

あるある:仮説がはっきりしてない。または、無い!

もちろん、テーマによってはhypothesisを立てることが難しいこともある(例えば、先行研究がほとんどなく、exploratory researchの場合)。ただ、その場合、最低でもresearch questionはあるはずで、それすらないのは、うちらの分野ではありえない。でも、ある程度研究がされてるテーマでは、hypothesisはあるべき。

 

あるある:統計手法が間違ってる。または、もっと良いやり方がある。

これまた、サンプル数が少なくて(限度はあるけど)、より良い統計分析を使えないことはあるのはしょうがない。でも、サンプル数がたくさんあるのに、あえてSEMではなくパス分析をしたりすると、ちょっと疑問がわく。最近だと、dyadのサンプルなのに、別々に分析をしたりするのも見た。他には、回帰分析をstepwiseでやったり、continuousの変数をdichotomizeしたり、これらの手法は良くないっていう論文は山ほどでてるのに、それらの論文は無視し、まったくの説明なしで使ってると、あれ?と思う。あと、前にも書いたけど、統計の結果の解釈が間違ってたりするのは、かなり印象が悪い。

 

あるある:統計分析の結果、統計的な有意な差はみられなかったと出てるのに、仮説した方向と同じtrendだったから、本研究は〇✕理論・モデルをサポートした。みたいなことを書いてる。

どんな統計分析や結果にももちろん弱点はあって完璧ではないのは承知だけど(だからeffect sizeも報告するようになったし)、上記みたいなことを書き始めたら、もうなんでもありになる気がする。。。しかも、それをlow sample sizeだから、有意がみられなかったかもしれないと書いてあると、じゃなんで事前にpower analysisをしないの?と聞きたくなる。もしかしたら、ドロップアウト率が多くなったのかもしれないけど、個人的には、じゃpost-hocでもいいから、powerは何だったのか書いてもいいのかなーと思う(※ただ、このやり方も間違ってたら、問題があったら教えてください。。。)。だって、それである程度のpowerがあったら、low sample sizeのせいではないってことになるんじゃない?仮に、effect sizeが大きかったら、なんかわかるけど、それも小さかったら、その結果を受け止めて、考察を書いて欲しい。。。

 

細かいことはまだ山ほどあるけど、長くなったので、また今度の機会に書こうと思います。

内部助成金の結果

昨年の11月末に内部助成金の申請をしたと書いてから、約2ヶ月。ようやく、今日結果が出ました。予想以上に申請の数が多く、時間がかかったみたい。

aimhigh20190212.hatenablog.com

で、結果、獲得することができました!11月頑張ったかいがあった。そして、何より、R1の大学の研究者と一緒に研究できることが嬉しい。一応この研究はpilot studyという位置づけで、今後はもっと大きなグラント(外部の助成金)を狙っていく計画です。

 

そして、この助成金の一部を夏の給料にも使うことができるということで、少しながら使わせてもらう予定。アメリカの大学の教員は9ヶ月契約がほとんどで、夏は基本、無給、、、。夏、クラスを教えることはできるけど、それは自由。教えたらもちろん給料はでる。ただ、assistant professorだと、夏の間がっつり研究をする人が多く、教えない人も多々いる。というのも、tenureを得るには、研究業績が必要だから。また、9ヶ月契約ということで、それがモチベーションになって、外部の助成金をゲットする意欲を高めてる人もいる(助成金から夏の給料を支払う)。

ちなみに、私はこれまで夏は教えてません。でも、今年はCOVIDでどちらにしろ、外出もなかなかできないので、クラスを教えようか考え中です。

2回目のR&R: スパゲッティ嫌いの査読者

1月12日に2回目のR&Rが来ました。1度目はmajor revisionだったけど、今回はminor revision。ということで、再提出期限もわずか1週間!そして今日(期限日ギリギリ)に送りました。

 

1度目のコメントで査読者の1人が、視覚的に理解できるようグラフを入れてというコメントがあって、なんとも美味しそうなスパゲッティ・プロット🍝というものを作成して論文に入れたんだけど、残念ながら気に入ってもらえず、異なるグラフを入れるように求められた。しかし、色々探したけど、今回の結果を視覚化するにあたり他に良いグラフを見つけられず、結局スパゲッティは残しちゃいました。ただ、スパゲッティの改良も加え、グループの平均の回帰直線を追加して、あと本文にも説明をもう少し追加した。正直どう取られるか不安だけど、スパゲッティ嫌いを克服できるかがアクセプトのカギになりそう。。。

 

2021年仕事始め

今週の月曜から、大学で仕事を始めました。

2020年は大学にとっても大変な年になり、学部の授業はすべてオンラインになり、その準備に追われていました。ただ個人的には、論文を7本出すことができ、今までで一番実りのある年となりました。何より、これまで使ったことのなかった統計手法で分析をして、その過程で色々学ぶことができたので、今後の研究にも応用できそう。統計などの分析方法は道具なので、そのツールを増やすと研究計画の段階でとても役に立つ。ただ、まだまだ使いたいけど使いえないツールはたくさんあるので、今後も研究をしつつ、統計の勉強もしていきたい。

そして、2020年は外部・内部助成金に積極的に応募した。ただ、、、12月に結果が来るはずだった内部と外部助成金は、審査のプロセスに時間がかかっているらしく両方とも延期するとの通知がきた。

 

2021年は、2020年以上に研究や助成金を頑張りたい、と言いたいところだけど、正直ほぼすべての論文が実ってしまったので、また一から種まきをしないといけない(=時間がかかる)。論文の出版は予期できないことが多々あるけど(採択の結果はもちろん、査読にかかる時間など)、とりあえず、2021年は4本(、、できれば5本)を目指して頑張ります!

2020年7本目のアクセプト。

昨日、R&Rだった論文のアクセプトの通知がきた!COVID-19関連の論文で、住んでいる州によっての違いを調べた。

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大学の方はというと、すべてのクラスの成績を提出して、一応終わった。それでも、ちらほら学生から成績の質問がくるけど。また、春学期に、急遽違うクラスを教えて欲しいとのことで、その準備もしてる。どうしても、ここの大学は研究大学ではないこともあり(正確には目指そうとしてる)、普通のR1やR2の大学では考えられない業務(例えば、学部生のアドバイジング)まで先生たちに回ってくる。なので、その線引きが大切。今回のクラスの変更も、前に教えていた先生に連絡して、色々聞いてから返事をした(運よく、そこまで準備が大変なクラスではなかった)。もちろん、NOと言えないこともあるけど、NOと言えるところは言っていかないと、どんどん研究時間が削られていく。

 

ということで、現時点で
R&R(単著)が一本。

2020アクセプト:
単著が三本。
First authorが三本。
Second authorが一本。