アシスタント・プロフェッサー in アメリカ

2018年からアメリカでアシスタント・プロフェッサーとして働き始めました。主に研究経過を記録として残していこうと思います。

査読してよく思うこと パート1

今週、2021年初めての査読をしました。

前に査読した論文の感想を書いたけど、やっぱり印象が良くない論文には共通点がある。

aimhigh20190212.hatenablog.com

あるある:仮説がはっきりしてない。または、無い!

もちろん、テーマによってはhypothesisを立てることが難しいこともある(例えば、先行研究がほとんどなく、exploratory researchの場合)。ただ、その場合、最低でもresearch questionはあるはずで、それすらないのは、うちらの分野ではありえない。でも、ある程度研究がされてるテーマでは、hypothesisはあるべき。

 

あるある:統計手法が間違ってる。または、もっと良いやり方がある。

これまた、サンプル数が少なくて(限度はあるけど)、より良い統計分析を使えないことはあるのはしょうがない。でも、サンプル数がたくさんあるのに、あえてSEMではなくパス分析をしたりすると、ちょっと疑問がわく。最近だと、dyadのサンプルなのに、別々に分析をしたりするのも見た。他には、回帰分析をstepwiseでやったり、continuousの変数をdichotomizeしたり、これらの手法は良くないっていう論文は山ほどでてるのに、それらの論文は無視し、まったくの説明なしで使ってると、あれ?と思う。あと、前にも書いたけど、統計の結果の解釈が間違ってたりするのは、かなり印象が悪い。

 

あるある:統計分析の結果、統計的な有意な差はみられなかったと出てるのに、仮説した方向と同じtrendだったから、本研究は〇✕理論・モデルをサポートした。みたいなことを書いてる。

どんな統計分析や結果にももちろん弱点はあって完璧ではないのは承知だけど(だからeffect sizeも報告するようになったし)、上記みたいなことを書き始めたら、もうなんでもありになる気がする。。。しかも、それをlow sample sizeだから、有意がみられなかったかもしれないと書いてあると、じゃなんで事前にpower analysisをしないの?と聞きたくなる。もしかしたら、ドロップアウト率が多くなったのかもしれないけど、個人的には、じゃpost-hocでもいいから、powerは何だったのか書いてもいいのかなーと思う(※ただ、このやり方も間違ってたら、問題があったら教えてください。。。)。だって、それである程度のpowerがあったら、low sample sizeのせいではないってことになるんじゃない?仮に、effect sizeが大きかったら、なんかわかるけど、それも小さかったら、その結果を受け止めて、考察を書いて欲しい。。。

 

細かいことはまだ山ほどあるけど、長くなったので、また今度の機会に書こうと思います。