アシスタント・プロフェッサー in アメリカ

2018年からアメリカでアシスタント・プロフェッサーとして働き始めました。主に研究経過を記録として残していこうと思います。

査読してよく思うこと パート2

今年の1月に査読をして思ったことを紹介しましたが、、、

aimhigh20190212.hatenablog.com

今回はそのパート2です。最近、複数の論文を査読する機会があり、その論文に共通することが数点あったので紹介しようかと思いました。

  • イントロダクションの構成に説得力がない

ここが弱いと、なんでその変数を統計モデルに入れるのか、なんでその変数がindependentまたはdependentなのかがはっきりせず、正直論文全体の価値が下がる。前回にも書いたけど、もちろん仮説もはっきり立てられない。せっかくサンプルや参加者を苦労して集めたのに、研究自体の重要さがはっきりしないと、本当にもったいない。dependent variableがコロコロ変わった論文もあったし(何の説明もなしに)、この統計モデルにはcovariateが7個あったのに、他のモデルにはなぜか5個に減っていたり、統一性がないと印象が悪い(最低、説明するべき)。じゃないと、きちんと研究計画を立てたのか、疑わしい。

  • continuousの変数をカテゴリー化したがる

ってこれ、パート1でも書いた。。でも、また見かけたということは、流行してるのかも。continuousの変数をdichotomizeする時は気をつけて。特に社会科学の分野では、すでにいくつもの論文が異議・危険性を唱えてるのに、何の説明もなく、カテゴリー作っちゃったよ、と書かれると、その判断・行為を正当化して欲しい。Continuousの変数の方が情報量が格段にあるのに、なぜその情報を研究者自らなくそうとする?もちろん、場合によっては、その方がいいこともあるかもしれないけど、説明なしでは許されない。逆にcontinuousの変数をcontinuousとして扱うのには何の不思議もないので、説明もいらない。

そういえば、4月ごろにここの大学で学部生・大学院生のための研究発表会があって、そこで面識のある院生がmediationモデルの分析をしていて、何でdependent variable(ちなみにバリバリのcontinuousの変数)をカテゴリー化して、logistic regressionをしないのか?みたいな質問を他の学部の先生から受けていたのを覚えてる。もちろん、例えばDVが0-5の整数しかとらないのであれば、ordinalのlogistic regressionをしたらいいと思うけど、特にそのDVに問題があるわけでもなく、院生も返答に困ってた。後から聞いた話では、この先生はlogistic regression大好き先生みたいで、なんでもDVをカテゴリー化したがるとか。なんじゃそりゃ。。。後からこの院生と話して、同情と哀れみをお伝えしました。

 

ちょっと話しがそれたけど、以上、査読していて感じたこと2点でした。